英国の植物、気候変動により開花時期が早まる
主な調査結果
- イギリスの植物は、気候変動により、1987年以前と比べて平均26日早く開花しています。
- 開花時期が早まることで、野生生物間の関係が混乱し、種が急速に適応できない場合は個体数が激減する可能性があります。
- 草本植物は、最初の開花時期で最も顕著な変化が見られ、32日間早まっています。
- イギリスの南部では、北部よりも6日間早く開花しています。
- イギリスの都市部では、農村部よりも5日間早く開花しています。
- イギリスの低地では、高地よりも1日間早く開花しています。
気候変動と植物の開花
気候変動により、イギリスの植物は通常より早く開花しています。Royal Society Bの紀要に掲載された新しい研究によると、最初の平均開花日は1987年以前の5月12日から、1987年から2019年までは4月16日へと変化しています。つまり、植物は数十年前に比べて、ほぼ1か月早く開花していることになります。
この研究では、1736年にまで遡る観測結果を含む市民科学データベースであるNature’s Calendarからの40万件以上の記録を調査しました。研究者らは、406種の開花植物種の最初の開花時期を調べ、気温測定値と比較しました。その結果、開花時期が早まるほど気温上昇との相関関係が強いことがわかりました。
開花時期が早まることによる生態学的リスク
開花時期が早まることで、さまざまな生態学的リスクが生じます。1つのリスクは、晩霜が早い時期に咲く花を枯らせてしまうことです。もう1つのリスクは、繁殖や渡りなどの生活史上の出来事の時期が変化することで、野生生物間の関係が断絶される生態学的ミスマッチです。
たとえば、特定の植物が早く咲いた場合、特定の種類の昆虫を引き付ける可能性があり、それによってさらに特定の種類の鳥を引き付けます。しかし、その鳥の繁殖サイクルがまだ始まっていない場合、鳥はその早い時期の食料源を利用できない可能性があります。これにより、鳥の個体数が減少する可能性があります。
植物の高さおよび開花時期
この研究では、植物の高さも開花時期に影響を与えることがわかりました。成長が速く寿命が短い多年草である草本植物は、最初の開花時期に最も顕著な変化が見られました。これは、草本植物が他の種類の植物よりも早く適応的に進化できる可能性があることを示唆しています。
場所と開花時期
この研究では、植物の場所と開花時期の関係も調査しました。研究者らは、イギリスの南部では北部よりも6日間早く開花していることを発見しました。都市部では農村部よりも5日間早く開花しました。また、低地では高地よりも1日間早く開花しました。
庭の植物への影響
この研究はイギリスの在来植物に焦点を当てているため、開花時期が早まることが庭の植物に与える影響はまだ明らかではありません。しかし、英国王立園芸協会(RHS)は、庭園で開花が早まっていることに気づきました。
RHSの園芸分類学の責任者であるジョン・デイビッド氏は、「庭の植物でも同様のパターン[開花時期が早まる]が見られると想定しています」と述べています。「そして、RHSガーデン・ウィズリーの果樹園にあるリンゴの木の開花時期など、RHSの庭園でその兆候を確認しています。」
結論
イギリスの植物の開花時期が早まることは、気候変動の明白な兆候です。この変化は、野生生物間の関係の混乱や特定種の個体数の減少など、さまざまな生態学的リスクをもたらします。この傾向を継続的に監視し、その影響を軽減するための措置を講じることが重要です。