スマートフォン顕微鏡が血液中の寄生虫を検出
カリフォルニア大学バークレー校のエンジニアチームは、わずか数分で血液サンプル中の寄生虫を検出できるCellScopeというスマートフォン顕微鏡を開発しました。この画期的な発見は、顧みられない熱帯病の診断に革命をもたらす可能性があります。顧みられない熱帯病とは、オンコセルカ症やリンパ系フィラリア症など、開発途上国で何百万もの人々が影響を受けている病気です。
CellScopeの仕組み
CellScopeは、スマートフォンに取り付けることができ、小型で持ち運びが簡単なデバイスです。LEDライト、マイクロコントローラー、USBポートを組み合わせて、血液サンプルを処理します。次に、スマートフォンのカメラで血液サンプルの複数のビデオを撮影し、アルゴリズムによってそれらのビデオを分析して寄生虫の動きを検出します。
検査室と訓練を受けた技術者を必要とする従来のLoa loa診断とは異なり、CellScopeは誰でもどこでも使用できます。これは、従来の医療サービスへのアクセスが限られている農村地域にとって特に重要です。
CellScopeの利点
CellScopeは、従来の診断方法に対して、以下のような利点を備えています。
- 迅速: CellScopeは、従来の方法にかかる数日間と比較して、3分以内に結果を提供できます。
- 正確: CellScopeのアルゴリズムは、低濃度でも寄生虫を検出するのに非常に正確です。
- ポータブル: CellScopeは、小型で軽量なので、遠隔地に簡単に輸送できます。
- 安価: CellScopeは比較的安価に製造できるため、リソースに制約のあるコミュニティでも使用できます。
CellScopeの用途
CellScopeは、次のようなさまざまな用途に使用できます。
- 顧みられない熱帯病の診断: CellScopeは、寄生虫によって媒介されるオンコセルカ症、リンパ系フィラリア症、その他の顧みられない熱帯病を診断するために使用できます。
- Loa loa感染の検出: CellScopeは、オンコセルカ症とリンパ系フィラリア症の治療に使用されるイベルメクチンという薬で治療すると致命的な可能性のあるLoa loa感染を検出できます。
- 非寄生虫性疾患の診断: CellScopeは、従来の顕微鏡が不足している地域で、結核などの非寄生虫性疾患を診断するためにも使用できます。
CellScopeの未来
CellScopeの開発者は、他の病気の診断にも使用範囲を拡大し、さらに安価でアクセスしやすくすることを目指しています。また、動物の病気を診断するために使用できるバージョンのCellScopeも開発しています。
CellScopeには、開発途上国における感染症の診断に革命を起こす可能性があります。その迅速性、正確性、ポータビリティ、安価さにより、世界保健を改善するための理想的なツールとなります。