Home 科学生命科学 舌の地図はウソ!実はどの部分でも五味を感じられる

舌の地図はウソ!実はどの部分でも五味を感じられる

by ローザ

舌地図:よくある誤解

誰もが舌地図を見たことがあるでしょう。さまざまな味が割り当てられた舌の図です。甘味を感知するのが前で、塩味と酸味が側部で、苦味が後ろ側です。これは味覚研究の象徴的な画像ですが、間違っています。

味蕾:その仕組み

味蕾は舌の特定の場所に限定されていません。代わりに、舌全体に分布しています。これらの受容体は、甘味、塩味、酸味、苦味という4つの基本的な味を検出します。グルタミン酸ナトリウム(うま味調味料、MSG に含まれる)のうま味という味が、現在は5番目の基本的な味として認められています。

味覚の閾値

味蕾の感度は舌全体で異なります。舌の先端と側面は、味を感知する感覚器官である味蕾が多数含まれているため、特に敏感です。ただし、感度の違いはわずかであり、舌のどの部分でもすべてを味わうことができます。

舌地図の起源

舌地図は、1901年にドイツの科学者デビッド・P・ヘーニッヒによって行われた研究に端を発しています。ヘーニッヒは舌の端の周囲で味覚の閾値を測定しました。その結果、舌の異なる部分で特定の味に対する閾値がわずかに低いことが示されました。

しかし、ヘーニッヒの測定値のグラフは、正確な表現というよりも芸術的な解釈に近いものでした。舌の異なる部分がそれぞれ異なる味を担当しているかのように見えました。

1940年代に、ハーバード大学の心理学教授エドウィン・G・ボーリングが、その著書「実験心理学の歴史における感覚と知覚」の中で、ヘーニッヒのグラフを再考しました。ボーリングのバージョンには意味のある尺度がなかったため、今日知られているような舌地図が作られました。

舌地図に対する科学的証拠

多くの実験により、舌地図は否定されています。例えば、口の中の味蕾を含むすべての領域(舌、口蓋、喉頭など)が、すべて味覚を感知できることが研究で示されています。

舌の前方に味覚感覚を与える鼓索神経が損傷しても、甘味を感じる能力は失われません。実際、鼓索神経が損傷した被験者は、甘味を感じる能力が向上する可能性があります。

分子生物学と味覚受容体

現代の分子生物学も、舌地図に矛盾しています。研究者らは、味覚分子を検出する味覚細胞上の受容体タンパク質を特定しました。甘味受容体は舌の前方だけでなく、口全体にあります。同様に、苦味受容体は、すべての味覚領域にあります。

真のテスト

舌地図を暴く最善の方法は、簡単な実験を行うことです。コーヒーを淹れ、炭酸飲料の缶を開け、塩味のあるプレッツェルを舌の先端に当ててください。舌の位置に関係なく、すべての味覚を感じられることがすぐにわかります。

科学的証拠があるにもかかわらず、舌地図は一般的な知識の中に根強く残り、多くの教室や教科書で今でも教えられています。これは、視覚的表現の力と、誤解が定着してしまうと、それを排除するのがいかに難しいかを示す証拠となっています。

You may also like