戦火のウクライナからバンクシーの壁画が盗難
ウクライナでバンクシーの壁画が盗難
ウクライナ当局は、キーウ近郊の戦火で荒廃した町ホストメリで、著名なストリートアーティスト、バンクシーによる壁画が盗まれた事件で8人を拘束した。今月初めに、ガウンとガスマスクを着けた女性を描いたこの壁画が、住宅の壁面から切り取られた。
壁画の説明
バンクシーの特徴である白黒のスタイルで描かれたステンシル画には、髪にカーラーを巻き、ガウンとガスマスクを着用した女性が、消火器から噴き出した鮮やかな赤色のペイントが飛び散る中で描かれている。この壁画は、ロシアの砲撃で甚大な被害を受けたホストメリの建物に描かれていた。
盗難作品の迅速な回収
盗難はすぐに発覚し、ウクライナ当局は現場で複数の容疑者を素早く逮捕した。8人はキーウとウクライナ中部の都市チェルカースィの住民とみられる。作品は良好な状態で回収され、現在当局が保管している。
ウクライナのバンクシーの壁画
先月、バンクシーはウクライナ全土の戦火で傷ついた建造物に描かれた7つの壁画の作者であることを明らかにした。これらの壁画の多くは、今年初めのロシアの侵攻以来、甚大な被害を受けた地域にある。壁画には、金属製の戦車トラップをシーソーのように使う子供たちや、柔道の試合でロシアのウラジーミル・プーチン大統領似の男性を投げ倒す少年など、回復力と連帯の場面が描かれていることが多い。
象徴性と意義
キーウ州知事のオレクシー・クレバは、窃盗未遂事件に関する声明で、「結局のところ、これらの画像は敵と戦う私たちの象徴です」と述べた。「これらは文明世界全体がウクライナに送る支援と連帯の物語です。」
壁画の保護と未来
クレバは、キーウ地域のバンクシーの壁画はすべて警察の保護下にあると発表した。ウクライナ文化情報政策省は、ガスマスクの壁画の保管と将来の活用についても協議を進めている。
バンクシー作品の先例
盗賊がバンクシーの作品を狙うのは今回が初めてではない。2019年には、強盗団がパリのバタクラン劇場の非常口からバンクシーの壁画を盗んだ。悲しみに暮れる少女を描いたこの壁画は、2015年にここで起きたテロ攻撃の犠牲者を追悼するために制作されたものだった。当局はこの作品を後にイタリアの田舎町で発見した。
ウクライナへのバンクシーの影響
バンクシーの壁画は、ウクライナの人々にとって希望と回復力の強い象徴となった。それらは紛争の継続と、銃撃戦に巻き込まれた民間人の苦しみに注目を集めた。盗まれた壁画の発見は、ウクライナの人々が逆境に直面しても自国の文化遺産と精神を守るという決意の証である。